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声の交差点 (3) 日本歴史の宝箱、倉敷考古館

 私は、小学5、6年生の頃から考古学が好きで、近くや遠くの遺跡に出かけて土器や石器を拾い集めていました。遺跡のある畑の地主さんから怒られたことも何度もあります。

 中学生から高校生の頃は、旧石器時代の石器を中心に集めていました。高校生になるとバイクに乗って大分県内の岩戸遺跡や早水台遺跡にも採集にいきました。

 その頃、私にとってのあこがれの遺跡は倉敷考古館にも石器が展示されている長崎県の福井洞穴遺跡でした。この遺跡のことは、「世界最古の土器」が出土したという内容で子供新聞に載っていたので知っていました。

 そして福井洞穴遺跡のことが書かれた鎌木義昌先生・間壁忠彦先生の論文(河出書房新社『日本の考古学T 先土器時代』)や林謙作先生の論文(吉川弘文館『日本考古学・古代史論集』)は高校の教科書よりも読んでいました。

  こうした旧石器、ことに福井洞穴遺跡に対する執念は、大学を卒業し埋蔵文化財行政に携わるようになってからも頭の隅から消えることはありませんでした。

 そして、1995年になって倉敷考古館に保管されている福井洞穴遺跡の石器を間壁忠彦先生のご配慮で拝見することができました。永く恋焦がれていた恋人に会えたような思いでした。若かったのか無謀にも福井の石器を世に出したいと思いたち、以来、約20年間の倉敷通いが続いているところです。

 福井洞穴遺跡の石器を調査するかたわら、時に展示資料を拝見することがあります。

 旧石器時代研究の歴史を飾る岡山県鷲羽山遺跡・大阪府国府遺跡の石器、弥生時代の伝滋賀県守山市新庄発見の流水文銅鐸、弥生時代末期邪馬台国時代の女男岩遺跡・黒宮大塚古墳で出土した特殊器台、古墳時代の金蔵山古墳出土の鉄器、奈良時代の奈良三彩や蓋付壷、天平宝字七(763)年銘墓地買地券二面、中世の備前焼資料など、いずれも日本歴史と地域の歴史を彩る極めて貴重な基準資料ばかりで、当時の人々に思いを馳せることができるものばかりです。

 正直なところ、定年後、時間に余裕ができたら倉敷考古館に入り浸ってこれらの資料を調べることができたらどんなに幸せだろうかなどと思います。

 また倉敷考古館から出版された書物をみますと、同館が倉敷とその周辺の歴史の解明に計りしれない貢献をしてきたことが分かります。こうした調査・研究をもとに倉敷の歴史が語られていることは、なんと素晴らしいことでしょう。

 私は大分県豊後大野市大野町で生まれ育ちましたが、倉敷考古館のように敷居が低く気軽に立ち寄れる考古館はありませんでした。その意味で、倉敷考古館のある倉敷市とその周辺の小・中・高生を羨ましく思います。

 これからも倉敷考古館を地域の歴史を調査・研究・展示する唯一の考古館として地域で盛り上げていただき、永く続くことを祈念しています。

大分県大分市 綿貫俊一

考古館より(参照)
福井洞穴遺跡については よもやまばなし(187)(188)

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