(2) これも考古館の遺物?

 みなさんこの写真の本体は何だと思いますか?今では倉敷考古館を訪れる人の中に、「おもしろい」とか「いいデザインだ」といって写真を撮ってゆく人もいる。とはいっても、その人たちの多くは、考古館内は見ていない。
 写真の主は、考古館出入口外に敷かれた、靴のよごれをぬぐう鉄製マットである。

 このようなマットは、以前は小学校とか銀行など、人の出入りが多い場所の出入口に、普通に敷かれていた。その頃には、上品な素材のマットではすぐに磨り減ってしまうくらい靴が拭ぐわれていた、つまりは靴がひどく汚れるような道だったということである。
 誰もがその作りなどは気にも留めてなかった日常の用具が、いつの間にか人々の記憶から消え、改めて気付いた人には、不思議な鉄の芸術品にも見えているようだ。ハート形もいいのだろうか。

 時に細いハイヒールがこの鉄製品の隙間にはまって難儀をしている人もいる。 今では不要ともいえる、かなりな重量のマットは、朝夕出し入れするためにも手がかかる。しかしこのマットは、考古館に来て半世紀にはなるだろう。鉄マットは考古館の外観とともに半世紀間姿をかえず、今では館の一部といってもいいだろう。

   昭和34(1959)年2月18日(水) 曇 (前日は雨)
 ラープさんの為に修理した道路の悪さに、ほとほと困ります。入り口からどろんこ・・・
(ラープ氏は、当時のオーストリア首相。倉敷市がオーストリアのサンクトぺルテン市と都市縁組を結んだ縁で、倉敷を来訪。そのため急遽穴ぼこだらけの通路に山土が入れられた。来訪は1月15日だったが、その後雨が降るたびドロドロのぬかるみ道となり、日が照ると黄砂のような土が舞い上がり、沿道に当たった周辺では大変だった。首相には失礼ながら、しばらくはこの悪路がラープ道路と呼ばれていた。考古館の鉄の足拭きマットもその頃買ったものだったように思う。)


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