(72) 省エネ・蔵わらし出現?

この写真間違いでは有りません。倉敷考古館の一展示室、ただし消灯中。 ぼんやり光の差したところに見えるのは「蔵わらし?」「壷わらし?」
 「第二室の電灯が消えていたのですが」毎日の掃除にいった館員が言う。電気系統に異常があったわけではなく、部屋の点灯スイッチが切られていたに過ぎない。まさか開館時から電源の入れ忘れなどがあれば、他にも影響が出る。この部屋の中で、毎日開閉する小窓に付いた鉄扉はすべて開かれているから、一部屋丸々開室を忘れていたわけでもない。部屋に入ってスイッチが入ってなければ、部屋の中は左の写真のような暗さである。まず開室時に点灯スイッチの入れ忘れはちょっと考えられない。となると何時だれがスイッチを切ったのだろうか。

 近年は12月1・2月と言えば開館休業と言いたいような、入館者状況である。とはいえ時々の入館者の方々は、部屋が開かれていて中が真っ暗に近い状況なら、何か言われる方もあってよいだろう。こちらの不注意だったと言えばそれまでなのだが・・・小さい館のこと、何かの不審音などには、かなり気は使っているのだが・・・

 例えば・・・・ただ一つしかない2階のトイレの水の流しっぱなし・・これなどは階下にいてもすぐわかる。・・・時には、このトイレの戸を、わざわざ中でロックをかけて出られる方がある。これも次の方がガタガタされていると気付くのだが・・・・それでも「トイレの戸が開かないですよ」と注意されて、恐縮することがある・・・・ところが手洗い場の電灯、これはわざわざスイッチを切ってくださる方がかなりある。これはあまり実害がなく気づきにくい・・・・それでも注意しなければならない点。とはいえ展示室のスイッチを切って出られたことは・・・ちょっと今までに有ったかどうか思い出せない。

 考古館は200年ばかりも前の江戸時代の蔵一棟に、鉄筋コンクリートで外観蔵作りの一棟を加えただけの、小さい博物館だが、後で加えた建物も既に半世紀以上は経つ。これとても古い蔵になってしまった。こちらの蔵(展示室)では、一部屋ごとに電灯を点滅しなければならない。出入り口のすぐ脇にあるスイッチは、部屋を出る人には、一番目に付きやすい。

 いま省エネが叫ばれている折、先の手洗い場のスイッチ同様、この部屋を出られる見学者の方が、他に誰もいない部屋で、ついスイッチを切ってくださったというのが、実情であろうと勝手に解釈した。それでも、当方が気付くまでに他の入館者の方がこの状態を見られたとしたら、なんと思われたことか。申し訳ないことであった。以後入館者の少ないときの注意事項である。

 現在では大変少ないが、以前は、小・中学校生が団体での見学が、当館での特徴だった。日に幾度かの説明依頼で、かなり疲労することが連日ということも多かった。こうした時に、時々起こっていたちょっとしたトラブル・・・・・2階の階段から、「降りられません!!」・・「開けてください!!」・・という大きな声や、通路の戸をドンドン叩く音である。

 「ああ!・またやった」と聞きつけた館員が二階に急いだものである。当館の展示室の中には、一度通路の戸を閉めると、内側からは開いても、外からは開かない構造のものもある。少々お茶目の子が、戸の留め金を外して、戸を閉めてしまうと、部屋には入れなかったり、出口に出られなかったり、いたずら「わらし」自身が締め出されて驚いたり・・ただこれも良く聞こえるところが多いので、後に影響することではなかった。

 近年このトラブルは全く無い。お茶目な童子(わらし)が来なくなったのが大きな原因だろう。東北地方の旧家での「座敷わらし」や「蔵わらし」のことは、あまりにも有名である。先日は「座敷わらし」の出る旅館の火災が、ニュースでわざわざ取り上げられていた。この旅館の部屋を予約するのも大変だったとか。

 少々悪戯でも、気味が悪くとも、わらしは幸せをもたらすものということだろう。考古館もいたずらわらしが多かった頃は、活気のある頃だった。考古館の蔵も、古さから云えば、そろそろ「蔵わらし」が出ても良い頃。

 悪戯わらしがいなくなった昨今、省エネわらしが現れたのだろうか。小さい私立博物館経営の苦境を見かねた、省エネ蔵わらしの出現なら大いに歓迎だが、省エネわらしが出るようなことでは、入館者がいないと言うことである。多くの見学者のいるところで、もし照明が消えたら、これは電気系統の事故。古い建物なので慌てねばならない。

 ・・とは言え・・上の照明の消えた暗い展示室の写真、一ヶ所ボーッと見えるところ・・・ここに「わらし」がいるのでは・・・

  「ただの壷じゃないか」・・・無粋なことを言ってると・・・赤い舌をだしてるぞ・・・・


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