(104) 倉敷河畔でのぼやき - よもやまばなし

(104) 倉敷河畔でのぼやき
2011/5/15

 この欄の話題では、倉敷河畔はお馴染みのもの。またかと言われそうだが、半世紀もここを見慣れた者にとっては、つい一番身近な話題の種となる。

大原美術館前より川下を見る

考古館前より川上を見る

他は近づいて見る

倉敷河畔に並んだ花筒

 この欄の話題では、倉敷河畔はお馴染みのもの。またかと言われそうだが、半世紀もここを見慣れた者にとっては、つい一番身近な話題の種となる。

 幾度か似たことを書いたかと思うが、朝出勤でこの河畔に着いたとき、「ああやはりここはいいな」と思うのは、手前味噌とばかりは思っていない。他の観光地を訪れた後でも、やはりこの倉敷川界隈が、美しくいかに落ち着けるよい雰囲気の所かと、つくづく思う。それだけに、時々驚かされる事があった時は、ついついここで話題にしたり、ぼやきたくもなる。

 皆さん、ここに示した写真、今朝(2011.4.22)の倉敷河畔の情景。写真が小さいので分かり難いかもしれないが、河畔に並ぶものは、全て草花の植えられた容器。なんとも壮観。

 皆さんは如何ですかこの風景・・・・倉敷にわざわざ訪れて、まずぱっと目に入ったとしたら・・・・・倉敷の第一印象は、期待通りでしたか?・・・・

 壮観と言ったのを誤解しないで欲しい。私にはこの景色、大げさに言って開いた口が塞がらなかったのである。ついまた、ぼやきたくもなるもの・・・

 よくもまあ・・・でかでかと並べたものだ・・花は添え物かという感じ。近づいて見ると花を植えた白い筒型容器には、下部にまるで貼り瓦のような模様まで描いている。このような姑息なことが、倉敷らしさと思っているのか・・・

 以前からこのあたりには、家々の軒下などに、同じ形のプランターに植えられた、同じ種類の草花が、並べ置かれていた。倉敷市による路上の美化のためであろう。

 しかしここはフラワーガーデンでもなく、整い澄ましたお邸の庭園でも無い。かつては倉敷川の水運と共に生きてきた、生活のある町だった。その伝統の独自性が生きているからこそ、倉敷の観光にも意味があるのでは・・・・何処もかしこも、似た偽物をつくったり、同じに花を飾るのであったら、倉敷を訪れる必要は無いだろう。

 とりあえず何事かと、倉敷観光コンベンションビューロに聞いてみると、例年5月の連休時に行われている、ハートランド倉敷の、イベントに合わした飾り・・・・みなさんは綺麗だと言われてますよ・・・とのことであった。ある地元の新聞には、「美観地域が、ぱっと明るくなった」という地元の人のコメントがあった。

 どうもわれわれは「みなさん」には入れてもらえないようだ。地元の人も、花が植わるまでは、灯篭になるのかと思った人も多いようだ。

 倉敷の繁栄を願う地元の多くの方々が、皆さん寄って行っているハートランド倉敷は、今年は、大震災があった後なので、自粛ムードで、このような花飾りになったというが、伝統的建物群の中で、こうした修景を何と思われているのか。花を飾るのに、何の文句があるか、と言わぬばかりの情景である。

 この地区を訪れてくださる人の、最も多い時期である。「倉敷」をと思って遠くから、わざわざ訪れて下さった方々が、「みなさん」ああ綺麗だといって下さるのであれば、せっかくの花にけちなど付けたくないのだが・・・・今日もたまたま訪れた人が、「一体あれは何ですか」と非難顔で尋ねられた。

 短期間の事ではないか、何かすると文句だけ言う・・・と主催者側の迷惑顔は目に見えているが、短期間の間に倉敷を訪れた人々、その評価の集積が、倉敷への評価になっている。リピーターを願うのであれば、その一時が大切。

 このようなところで事々しく言う事ではないのだが、考古館は、多くの人にはわけも分からないと思われている考古学の、研究や展示ばかりしてきたのではない。近隣や県外のかなりな大学などで、博物館関係の教育に数十年の長期にわたって携わってきた。

 その実習では、毎年、幾十人もの学生を、倉敷・岡山などの博物館に案内し、また町々の歴史や良さを示してきた。この学生さんたちがどれほど多く、倉敷へリピーターで訪れているかを、身を持って知っている。

 思わぬときに、河畔で声をかけられる。「どうしてももう一度来て見たかった。」という。家族づれが多い。彼も彼女たちも、倉敷の本当に良いところを見て帰ったからと思っている。・・・大変失礼だが、顔も思い出せない方たちがほとんどなのだが・・・

 ・・・また少々残念なのは、このリピーター達、まず目的は大原美術館であり、倉敷の町並みである。考古館は中身より、外観のようだ・・・考古学専攻生は別であるが・・・博物館実習生は、全学科に亘っているのだから、倉敷全体での魅力は、それが当然と思っている。

 何かと言えば、「みなさん」を錦の御旗とする方たち、どれだけの「みなさん」なのか、どれだけのリピーターをご存知なのか。

Go to Top